梅の栄養価と薬効
栄養と薬効
中国から薬用として渡来した梅は、奈良時代・万葉集に、その花の美しさと香りを愛でて歌われています。平安時代の医薬書「医心方」 には、すでに梅干しの効用が記されています。
以来、梅干しは、喉の渇きや、息切れを防ぐなどと、医食の両面で利用してきた貴重な健康食品です。日本各地での植栽の歴史も古く、梅干しが広く普及したのは江戸時代初期といわれています。
強い酸味の主体はクエン酸とリンゴ酸です。クエン酸は胃腸の働きを促進し、食欲をすすめ、たんばく質の消化をよくします。これらの酸は強いので、生食はしませんが、梅干しなどに加工し、悪玉腸内繍菌の抑制、整腸作用などに活用してきました。
また、クエン酸はTCAサイクル (疲労を回復させる回路) を円滑にして疲労回復や老化防止に役立つほか、血液中に乳酸がたまらないようにして、肩こりや腰痛をはじめとする、筋肉の疲労や痛みの予防に働きます。また、クエン酸には、カルシウムと結合して骨を強化する効用、鉄の吸収を促進しながら血行をよくする働きも期待できます。
さらに、ビタミン類も含んでいるので風邪や二日酔いにも効果があります。さて、青梅の毒性は、実ではなく核(種) にあるシアン酸 (青酸) によるものですが、未熟な梅・青梅は核が柔らかいために実のほうにまでしみ出てきます。ですから、青梅は食べないようにといわれているのです。もちろん、完熟した実にはその心配はありません。
調理のポイント
普通は生食しないので、梅干しや、梅ジャム、梅酒で利用します。梅干しは確かに体にいい成分を含むのですが、塩分20%前後で漬けられた梅干しの塩分が心配です。梅干し1個で塩分1.2g。1日の塩分を10g以下にしたいのですから、1個以上は食べられません。ことに高血圧の方は、減塩の食事が基本ですから、塩分の多い梅干しはすすめられません。
また、胃酸過多症の方は、クエン酸の刺激で胃酸の分泌が盛んになるので、健康食品の梅干しですが多食はできません。塩分を減らして漬ける 「減塩漬け」 は、焼酎を呼び水に使い、漬けたあとの保管や手入れをまめにすることが必要です。
選び方と保存
地方によって品種は様々ですが、粒がそろい、傷や斑点のないもので、梅酒用は青青としているものを。梅干し用は熟したものを選びます。